
AIの導入を考えると、まずツールを比較したくなります。その前に決めたいのは、どの仕事を、どこまで変えたいかです。この記事では、最初の対象業務を選ぶときの考え方を、営業事務の例で整理します。例は導入設計の説明用であり、顧客への導入実績ではありません。
繰り返し発生し、入力と完成形が説明でき、人が結果を確かめられる仕事を一つ選ぶ。まずは下書きや整理から、小さく試すことをおすすめします。
業務設計の解説内容確認
PIROマーケティングによる業務設計の考え方です。営業事務の例は説明用で、顧客への導入実績や実測値を示すものではありません。
1. 仕事の名前より、具体的な作業を書き出す
「営業をAI化する」では、対象が広すぎます。面談のメモをまとめる、次の行動を整理する、返信の下書きを作る、といった作業に分けてください。同じ営業事務でも、必要な情報と判断する人は異なります。
まず、直近の一週間で繰り返した仕事を三つ挙げてみます。それぞれについて、何を受け取り、何を作り、誰が確認するかを一行ずつ書きます。説明しにくい部分があれば、AIを使う前に仕事の流れを整理する余地があります。
- 頻度:毎日・毎週など、繰り返し発生するか
- 入力:必要な情報を過不足なく用意できるか
- 完成形:使える結果の条件を言葉にできるか
- 確認:担当者が誤りや抜けに気づけるか
2. 下書きを作る役割と、判断する役割を分ける
たとえば商談後の業務なら、メモから合意事項、未確認事項、次の行動を分ける作業を試す候補にできます。一方、見積額の決定や契約条件の約束、相手への送信は、別の判断として扱います。
指示文には「メモにない事実は足さない」「決まっていないことは未確認と書く」「次の行動には担当と期限を添える」のように、完成形を具体的に書きます。AIの結果をそのまま外部へ送る運用にはせず、原文と照合する担当を決めておきます。
3. 機密情報を含まない材料で試す
最初の動作確認には、練習用に作った商談メモを使えます。氏名や顧客情報を入力しなくても、出力の形や抜けを確認できます。実データを使う段階では、社内の利用ルール、ツールの契約・設定、情報の扱いを確認してください。
普段うまくいく例だけでなく、期限が書かれていないメモや、結論が出ていない相談も試します。不足を勝手に埋めず、確認が必要な点として残せるかを見ます。使いにくい場合は、ツールを増やす前に入力の渡し方と指示を調整します。
4. 短縮時間と、確認の負担を一緒に見る
試した後は、下書きが出るまでの時間だけで判断しないことをおすすめします。元の情報を用意する時間、結果を確認する時間、修正する時間を含めて、従来の作業と比較します。
効果を感じた場合も、すぐに対象業務を広げず、担当者が変わっても同じ手順で使えるかを確認します。続ける、指示を直す、いったん止める。この判断をできるようにすることが、最初の導入で残したい成果です。
- 作業全体にかかった時間
- 修正が必要だった箇所と理由
- 入力が足りずに止まった箇所
- 次回も同じ手順で使えるか